パラスポーツとの向き合い方


スポーツ雑誌の仕事をさせてもらうようになった関係で、さまざまな障害者スポーツを直接目にする機会が多くなった。
印象的だったのは、車いすバスケットボールで前代未聞の全国8連覇を果たした宮城MAXの岩佐義明監督が「これはれっきとした一つのスポーツなんです」と、こちらの偏見的な先入観を見抜いた上で諭すように言った一言。その後障害者スポーツの連載を担当するようになってから、いつもその言葉を胸に競技や選手と向き合い、取材執筆するように心掛けている。
パラリンピックが始まる。オリンピックに比べて世の中の関心が薄れる(であろう)ことを、健常者と障害者の対比で語るのは本質を突いていない。単に私たちは、その一つ一つのスポーツを楽しむための知識と理解と経験が足りていないだけなのだ。
一方で私たちはある日突然、まともに観戦したこともなかったラグビーに熱狂するようになり、レスリングの手に汗握る攻防に夢中になり涙を流す。嘲笑されがちなミーハー根性というものが裏返しで奏功し、突然一つの競技にスポットが当たり、長年地道に努力を続けてきた選手たちが日の目を見る機会が生まれることがある。
例えば車いすバスケットボールはその迫力も魅力だが、プレーヤーの障害の重さに応じて1.0点(重度)から4.5点(軽度)まで0.5点刻みでポイントが設定され、コート上の5人で計14.0点以内でなければならないというルールがあり、そこから生まれる戦略性は健常者のバスケットボールには無いものだ。
ミーハー根性大いに結構。ルールを知り、試合の見方が分かり、躍動する選手たちに魅せられ、それが自国の選手であればなおさら思い入れが強くなる。障害のある人たちが頑張っている、という感動の物語を消費するのではなく、これまで知らなかったさまざまなスポーツの世界トップレベルの戦いが連日見られる4年に1度の機会。それがパラリンピックなのだ。
ワクワクしませんか?