2日目



寒さと妙な覚醒感でまったく眠れず、NHKの放送に耳をじっと傾けているうちに避難所での最初の夜は明けた。「太陽が昇れば希望が見えてきます。あと3時間、頑張りましょう。眠れない状況にある方は、どうか私たちのこの放送にお付き合いください」。アナウンサーの言葉に励まされたのを覚えている。
近場の被害状況を見て歩き、たまたま空いていたスーパーの行列に並ぶ。店のガラスは割れ、倉庫は崩落し、天井も落ちた危険な店内から商品を引っ張り出して店の外で販売してくれるスーパーの店員。もちろん全員が被災者だ。バイト風の若い男の子なども合わせて10人はいただろうか。自分が同じ立場ならこうやって仕事に出て来れるだろうかと思うと、本当に頭が下がる。日常生活に戻れたら、必ず、たくさん利用させてもらうからね……。
もっとも気がかりだった黒猫のエサを手に入れ(これは本当にラッキーだった)、部屋で避難生活に必要なものをそろえているうちに暗くなり、再び避難所へ。嫌がる黒猫をカバンに入れた後、しばらくヨメと静かに泣く。いつまで続くのか。大船渡は無事なのか。また長い夜が来る。