関心の引き波が起きている−M7.4、最大余震発生後に思う

震災から1カ月が経とうかという4月7日23時32分、最大余震が発生しました。M7.4、それは阪神・淡路大震災、そして2008年の岩手・宮城内陸地震を上回る地震規模です。東北大学地震噴火予知研究観測センターの松沢暢教授は地元のテレビ局の取材に対して、1978年宮城県沖地震の再来ではないかという見解を示しました。

東日本大震災による家屋の損傷は激しい揺れによってさらに進み、また本震の時よりもひどい被害を受けたという人もいます。青森、岩手、秋田の全域と宮城の72万戸、山形12万戸、福島35万戸が停電し、再び水道とガスが停止したところもあります。避難所にいる方々はさらに不安な思いをされたでしょうし、少しずつ通常の営みを取り戻そうとしていた市民にも衝撃を与えました。

ところが、この地震には未だ名前すら与えられていません。あくまで「余震」なのです。テレビ、ラジオは各局とも当日の深夜3時を境に緊急放送を終了しました。翌日は朝からほぼ通常通りのプログラムが放送されています。仙台でこうなのですから、東北以外での扱いがどうかは想像に難くありません。「思ったよりも被害が少なそうだから」と判断したのでしょう。「もうお前にだけ構ってらんないから、みたいな」という印象を受けたとつぶやく人もいました。

昨夜の「余震」。それは、被災地にいる私たちが恐れている「関心の薄れ」が露呈された瞬間でもありました。

メディアは、亡くなった方の人数の多寡や衝撃的な画が撮れそうかどうかで報じる価値を判断するのをやめてほしい。それを受け取る人たちも、たとえショッキングな映像や写真がなくても、ほんの少しだけ想像力を働かせて、M7.4もの規模の地震が追い打ちのごとく被災地と被災者に物理的・精神的なダメージを与えたことを感じてほしい。

震災の終結宣言は、メディアと世間の空気で作られるべきものではありません。少しずつ復興へ歩み始めたとはいえ、私たちはまだ震災の中にあるのです。「津波の怖いのも『引き波』だといいますね」。東北大学のある先生がそう諭してくれました。いま現地で私たちは、世の関心の引き波にこそ警戒しています。

(加筆修正してどこかに掲載できれば)

追記

M7.1に修正されたそうです。伝えたいことは変わりませんが。

追追記

MSNトピックス男ブログに掲載していただきました。ありがとうございます。
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