泣き寝入りするしかないのですか?
ちょっと揉めそうになったのと、いま企画している案件の参考に「クリエイターのための法律相談所」を購入。メインのQ&Aパートが、かなり具体的で面白い。印象的なものをピックアップしてみました。
- 制作前の問題編
- 口約束だけでも、契約は成立しますか?
- 納品をすませ、料金が支払われると、そのデザインは取引先のものになり、自由に使われるのが当然なのでしょうか?
- コンペに参加しましたが、採用されなければ制作費の支払いはないのでしょうか? また他のプロジェクトに企画を流用されても仕方ないのでしょうか?
- 制作過程編
- 他人が撮影したクマの写真をスキャン後、色を変更し、丸い尻尾をつけたアートワークを使用すると問題になりますか?
- 人気のイスとそっくりなイスを制作・販売すると問題になりますか?
- 自ら撮影した動物や建物の写真を、デザインに使用して問題ありますか?
- 既存のポスターに犬がメガネをかけたイラストが使われており、それと同じように犬がメガネをかけたイラストを制作すると問題ですか?
- 旅行パンフレットにある風景写真を、広告のデザインに使用すると問題ありますか?
- 納品後編
- 発注時に決めた制作料金を、納品後に値切られました。こういったトラブルを避けるにはどうすればいいのでしょうか?
- 取引先からポスターのデザインを発注された後、追加でバナーの制作を依頼されました。バナーについては金額面で合意に至っていませんが、後から請求できますか?
- とても安い金額で発注されましたが、取引の関係上、受注せざるを得ません。これは防ぎようがないのでしょうか?
- 発注内容通りに制作していたら「制作物の内容を大幅に変更したい」と言われました。その費用は負担してもらえないものですか?
- OKが出たデザインを納品したら「いらなくなった」と受領を拒否されました。対抗策はないのでしょうか?
- クライアントから印刷物だけではなく、制作データ(デザインデータ)の提供を求められましたが、流用されたくありません。そもそも印刷データは誰のものでしょうか?
- 知らないうちにポスターのデザインが変更され、リサイズされてフライヤーとして使われました。これには使用料を請求できないでしょうか?
- コンペで集まった企画がすべて不採用にされ、提出案にそっくりなアイデアが第三者によってデザインされました。まったく同じではありませんが、これは問題にならないのでしょうか?
クリエイターから質問を募ってこのQ&Aを構成したとのことで、あるあるネタのオンパレードになってます。巻末の「クリエイターを守るために」というチェックリストと契約書サンプルも便利そうでした。こういうのでしっかり理論武装して自分の身を守るというのは大切なことですが、ふと、
-
- 何かと法律を持ち出して正当性を主張したり異議を申し立てたりすると、クライアントに煙たがられて仕事が来なくなったりしませんか?
という疑問が頭をよぎった。そして結局泣き寝入りするしかないのですか?*1
- 作者: 松島恵美,諏訪公一
- 出版社/メーカー: グラフィック社
- 発売日: 2012/03/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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*1:いま何らかのトラブルを抱えているわけではありません