物書き考

ブログやソーシャルメディアで何かを書くというのは、突き詰めれば「誰かに反応してほしい」という一点に尽きる。そうじゃなきゃクローズドにすればいい。
おれは原稿を書く仕事をしているので、真面目に仕事をしていれば、部数やPVに比例して多くの人に自分の文章を読んでもらうことができるというありがたい状況にある。それでもブログやソーシャルメディアで書くのは、リアクションを欲しがるからなんだろう。外部でライターをやっていると読者ハガキの「○ページの記事がすごくよかった」という感想にはなかなか出会えないけど(力量不足もある)、ネットの場合は賛否含めて具体的な反応をいただける。これは、物書きにとってたまらないことだ。
雑誌が電子書籍になって、すべてのページの細かい1コラムにさえも「いいね!」ボタンが付いて、それが押されたことがライターに伝わる仕組みがあれば革新的ではないか。職業ライターではない一般の方ですらPVやfavやいいね!を気にしている中、紙媒体に原稿を寄せるライターは編集さんの評価が唯一のリアクションで、良かれ悪かれ読者の反応を得られることはほとんどの場合ない。紙媒体と電子書籍、という話になると、やれ手触りがどうのとか、保存性がどうのとか、コストや流通や、そういう話しかされないけど、書き手にとってのメリットはこういうところにある。
思えば、自分が書いた原稿が初めて世の中に出た時は、その本を立ち読みする人をしばらく書店で観察していたものだった(あやしい)。それも単行本だったからできたことで、雑誌の原稿だったら後ろから覗き込まない限り、自分の原稿を読んでもらっているのかどうかも分からない。数万部刷られている雑誌よりも、5人でも10人でもネットで反応を寄せてくれる人がいるならそっちで書いてるほうが楽しい、と書き手が思ってしまうのは無理もないことだろう。
以上、お金をいただいて書く原稿に取りかかるのは腰が重いのに、頼まれてもいないブログを書きたがるのはなぜだろう、というのを夜中に考えた結論でした。いいから早く原稿書け、俺。