無駄なもの


スカイツリータウンをイメージしたサングラス、「Zoff」が限定発売。 | Narinari.com
こういう、無数のしょうもないものを作るのをやめていけば、少しはエネルギー問題の解決に近付くんだと思う。だけどこういうものを作ることで明日ご飯を食べるお金が手に入る人もいて、そういう人たちにとっては地球の問題よりも自分の生活のほうが切実だろう。と、人ごとのように言うけれど、書き物で商売している自分自身も、生きるために必要ではないものを作ってお金をもらっているので、大いなる無駄に寄生していると言える。
震災直後、今朝まで身の回りにあったすべてのものがいったんなくなって、生きるために最低限必要なものから順番に取り戻していって、日を追うごとに少しずつものが増えていった。絶食のあと嗅覚や味覚が敏感になるのと同じように、あれからしばらくは、それが自分にとって本当に必要なものかどうかを判断する感覚が研ぎ澄まされていた。だけどたった1年でその感覚は錆び付き、例えばiPadよりも新しいiPadが欲しくなって買い換えるわけだ。
だけど、そういう無駄なものをどんどんなくしていって、本当に必要なものしかない世界になるのが理想的とも思えない。無駄なものにこそ人生の面白い部分は隠れている。身体のことを考えたら無駄どころか悪影響の大きい酒をやめて、それで長生きできたとしても、おれは人生のいくらかを損したと思うだろう。すべての無駄をそぎ落とした人生というのは、生物としてただ生きるために生きているに過ぎない。
それが必要か不要か、という二元論で片付けられる人はずいぶん簡単でいいなと思う。それにしてもこのサングラスはいらないだろうけど。